ぽこぺんです。
先日も取り上げましたが、金融庁が出した報告書(金融審議会 「市場ワーキンググループ」報告書)について、国民や野党からの批判を受けて政府は年金について誤解を与えたとして謝罪をする事態となっています。
そもそも本件は、金融庁の金融審議会とは、内閣総理大臣、財務大臣、金融庁長官の諮問機関として設置されている会議体のことです。
諮問機関とは、行政からの諮問(意見の求め)に対して意見をする組織です。現在の参加メンバーは金融審議会委員名簿として金融庁のホームページに掲載されていますが、主に大学の先生と民間企業のトップで構成されているようです。
老後の生活のために2000万円が不足するという表現があったことについて、菅官房長官や麻生大臣が「不適切な表現だった」「誤解や不安を招いた」として謝罪しています。

多くのメディアは年金制度の崩壊や庶民の老後までも不安にさせる報告書としてセンセーショナルに、そして一部分を切り取って報じているように思います。そのせいか、一部ではTwitter等で年金制度に対する不満、怒りも見受けられます。
しかし、金融庁がこのタイミングでこのような問題提起というか、話題になるようなテーマを世に発信したことは実はよかったのではないかとぽこぺんは思っています。
もちろん、ぽこぺんも一会社員として年金を払っているので、払った分の年金を受け取りたいですし、年金だけで安心した老後を送れるならそれに越したことはないと思っています。
一方で、現在の年金制度は人口拡大を前提とした昭和中期の制度なので、令和の現在に適したものとなっておらず、金融庁が報告書を出すよりはるかに以前から多くの国民は年金制度に不安を感じていました。
実際に、若者の間で年金未納者が増大して問題になったこともありました。
そう考えると、少なくとも年金だけで豊かな老後はおくれないということは改めて突き付けられたというだけで、驚くべき話題ではないのです。
そして、年金を所管する厚生労働省と同じ国の機関である金融庁が「年金だけでは足りなくなるから準備をしてください」と発信しているというのは、「年金制度は問題ないから安心して」と言われるよりも現実的で信用できるのではないでしょうか?
おそらく、多くの人は「年金が足りないうえに更に老後資金を準備するのか」ということを心配しているのでしょうが、金融庁はNISA・積立NISAという非課税の運用制度や、厚生労働省のiDeCoといった税優遇された個人年金制度を整えてくれています。
つまり、多くの国民は貯金だけではなく、これらの制度を使って老後に備えるために運用が必要だということです。
かつてのように、資産運用は金持ちだけのものと言っている時代ではなくなったのです。また、金融庁が出している長期の運用データ等からも「株はギャンブル」という考えも長期では当てはまらないことがわかります。
少子高齢化と経済が縮小する日本だけを見ていると実感できませんが、世界の人口は急増し、それに伴って経済が拡大している国がある以上は、世界全体の経済規模は拡大しているのです。運用を日本国内だけで考えていては、その成長の果実を手にすることはできません。
金融庁の報告書を批判して、政府の対応を批判して、年金制度の文句を言って、それで老後にお金が足りなくなったとき、政府に助けてもらえるのでしょうか?
現実と常に向き合い、変化に適応し、将来を見据えて今を生きていきたいものです。
小さな一歩でこつこつと。