ぽこぺんです。
ハイテクグロース株への投資が全盛の今、日経新聞で興味深い記事を見つけました。
「誰が株式市場を壊したのか 失われた「価格発見機能」」という記事です。
これは日本証券アナリスト協会が発行する「証券アナリストジャーナル」に掲載された論文を元にした記事なのですが、結論から言うと、1年後の利益を完全に予見して、現時点で割安な銘柄に投資をしても超過利益は大きくないということです。
これはどういうことかというと、決算データを元に決算の1年前の株価で株を購入したと仮定するとどの程度の儲けが出ているのか?を検証したということです。
理論的には、1年前の予想を上回る好決算を出した企業の株を1年前に買っていたとすれば、利益は大きくなるはずです。
ところが、実際に検証するとそうはなっていなかったということです。
つまり、業績が良くて割安な銘柄であっても、株価は大して上がらずに割安のまま放置されているということです。
これは2010年以降にに受けられる傾向らしく、2018年以降はそれが顕著だということです。
以下は日経新聞電子版に掲載されているデータになります。

この論文では米国市場についても検証したようで、日米が併記されていますが、2019年の米国相場に至っては、1年後の利益が完全に予見できる状態(完全予見投資)であっても、割安株への投資では超過リターンがー2.2%となっています。
つまり、未来を予知できる能力を持って割安株に投資したとしても市場平均に負けるということになっています。
直近では金利上昇によってバリュー株が盛り返していますが、下記のグラフで分かるように、2009年を基準にするとバリュー株はグロース株に大きく劣後しています。

確かに、ここ最近の相場を見ていると納得できる内容だなと思います。
記事ではこの要因として、
・金融緩和
・経済成長率の低下
・パッシブ運用の拡大
などを挙げていますが、日本特有の要因として日銀によるETFの購入を追加しています。
こうしたマクロ要因によって企業の利益を顧みない株価上昇と割安株の放置は今後は大きなチャンスに転じる可能性があるという野村アセットの方のコメントも紹介しています。
ネットの世界の個人投資家の間でもグロース株かバリュー株かという議論は盛んにおこなわれますが、改めて近年はグロース株優位の状況を確認させられました。
ただ、結局のところ、グロースでもバリューでも利益の裏付けがある銘柄、長期で利益が拡大する銘柄を持つということに尽きるのではないかと思います。
利益が出ていなくても、赤字でも、将来性を見込んで今から買うというのは一部の天才投資家が投資する場合や資産の一部を傾ける分のは悪くないと思いますが、当たり前のことながら、一般の個人投資家はそこに資産のすべてを傾けるのはリスクが高すぎるということだと思います。
小さな一歩でこつこつと。