ぽこぺんです。
ここ数日、米国での株取引が話題です。
個人向けに証券取引サービスを提供するロビンフッド社がゲームストップ株【GME】の株をRedditというSNSで共同して購入することで株価が急上昇し、空売りをしていた機関投資家を大損させたというものです。
株価が急上昇する中でロビンフッドは【GME】株の購入を停止(売却か可能)しました。
この話題の問題は、
①ロビンフットが勝手に【GME】の買い注文を受けず、売り注文だけ受けるということ
②個人投資家がSNSを通して団結して買い注文を出すことで株価が急騰したこと
の2点です。
①はロビンフッドが買い注文を受けないが売り注文は受けるということ。
勝手な判断で買い注文を受けないので、【GME】を買いたい投資家が注文を出せないということもありますが、売り注文だけしか受けないのでこれ以上株価が上がらない、株価は下落はあっても上昇はないという環境を作為的に作り出すことで空売りしている機関投資家には有利な状況となりました。
これは不公平ですね。
②は個人投資家がSNSをきかっけに株を購入することで、相場操縦、また場合によっては風説の流布の可能性があるということです。
みんなで株を買うことで、自然な価格形成を妨げることを相場操縦といいます。
また、SNSで株についての虚偽情報(風説)などを流すことを風説の流布と言います。
①も②も、証券会社も個人投資家も問題があったのではないかというのが今回のことのあらましです。
さて、ようやく今日の本題ですが、なぜ①のようなことが起こるのか?
そもそもロビンフッドは売買手数料がゼロというのが売りで、若年層を中心に一気に顧客を増やした新興証券会社です。
2020年の夏にロビンフッドが手数料をゼロにしたことで、米国証券会社の再編が一気に進み、日本でもネット証券が手数料引下げ競争を始めるきっかけになりました。
ではなぜロビンフッドは手数料をゼロに出来るのか?
これにはカラクリがあります。
このカラクリのことをPFOF(Payment For Order Flow)といいます。
これは、顧客からの注文を受けた際、取引所に注文を出すのではなく、特定の高速取引業者と呼ばれる機関投資家の注文と約定させるというものです。
高速取引業者とはHFTとかHSTと言われ(厳密には定義は異なります)、マイクロ秒(百万分の一秒)という超高速で注文を出すような業者です。
彼らに顧客の注文を流すことで、約定額について一定のリベートをロビンフッドはHFTから受取っているのです。
ロビンフッドにとっては個人投資家もHFTも同じ顧客ですが、HFTから受取る宇お金がロビンフッドの主な収益源となっているのです。
ロビンフッドは否定していますが、普通に考えれば、手数料ゼロでお金を取らない客(個人投資家)と金を払ってくれる客(HFT)のどちらを優遇しますかね?
むしろお金をとっていない客は手数料ゼロというエサに引き寄せられているような気がしませんか?
確かなことはHFT自身にしかわからないことでしょうが、一般的にHFTとは超高速で注文を出し、1約定あたりの利益は小さくてもそれを何万回と積み重ねることで利益を得ていると言われています。
また、その取引は国境をまたいで行われるため、各国当局でもその実態を完全に把握するのは難しいとか。
リーマンショックの後に『フラッシュボーイズ』という本が話題になりましたが、これはHFTをテーマにした本だとか(すいませんぽこぺんは読んでません)。
つまり、考えられるのは個人投資家からの注文を市場に出る前にHFTが約定し、僅かな時間差を利用して市場でそれを売買することで利益を得ているのではないか?
そのためには大規模な設備を持たない個人投資家の注文を使って利益を上げているのではないか?ということです。
断っておきますが、以上は全てぽこぺんの憶測です。
でも、HFTが手数料を払ってまでロビンフッドで取引をしていることは事実ですし、それがロビンフッドの収益源であり、それがあるからこそ個人投資家の手数料がゼロになっています。
別にこうしたビジネスモデルをしっかりと顧客に提示したうえで、顧客が納得したうえで行うのは何の問題もないと思うのですが、実際はそうでもないようです。この点は米国SEC(証券監視委員会)も問題視しているようです。
日本でも手数料引き下げでネット証券の競争が激化していますが、昔から言うように、「タダより高い物はない」という言葉は頭にいれておいてもいいでしょう。
手数料がゼロでも証券会社は慈善事業をしているわけではないので、どこかで利益を上げる必要があります。
どこから利益を上げているのかは個人投資家も意識しておいて損はないはずです。そして、証券取引に限りませんが、サービスに対する適切な対価を払わないとどこかでゆがみが出るものです。
再度、言っておきますが本日の記事はぽこぺんの私見を多分に含んでいます。
その点を十分にご理解ください。
小さな一歩でこつこつと。